Kumoyuni45 > 鉄道コラム > 施設動向 > 工事の時に工事誌等で見る言葉をほんのちょっとでざっくりだけど解説(1)

工事の時に工事誌等で見る言葉をほんのちょっとでざっくりだけど解説(1)

ホームタウンとちぎをフォローする
21 Likes

日々此方のサイトでかなりハイレベルな知識や情報の交換がありますので、そこから新たな知識を得られて自分の識見を深められる環境にいるんだなと自分でも改めて認識しております。
然し、電車図鑑に飽き足らず商業誌を読んで「もっと深く知りたい」「新たな情報を欲しい」「あれってどう言う意味なのかな?」「よく出てくる単語だけど何なのかな?」と考えて此方のサイトにおいでの方もきっといらっしゃることでしょう。
今の時分Twitterや多々の動画で結構高度な内容の情報が流れているので、それに対して「ちょっと何言ってるのか分からないから付いていけない」って場面や場数のあった方も多くいらっしゃるでしょう。

正直かつての自分もその内の一人に属していて、かねてから商業誌や図鑑を読んだり撮り乗りしたりあちこちで観察していたりしたので電車の主回路や気動車のエンジン周りの話を聞きかじりはしていたものの――
「IGBTって何?」「どうやって電気で電車を動かしてるの?」「電車にも免許があるの?」「乗降終了合図って何?」「どんな風に駅を工事してるの?」「仮囲いの中でしている工事はどんななの?」「どうやってトンネルを掘ったり高架化してるの?」と言う疑問を抱きながら生活してきました。幸い自分の場合人から学ぶ機会があって、IGBTが絶縁バイポーラートランジスタと名付けられたトランジスタの一種であることやどうやってIGBTで電車を動かすかをそこで教わることで疑問が解けました。
(因みにIGBTで電車を動かす方法の超ざっくりした答え:架線から直流の電気を取り入れて、VVVFインバータの回路の中に組み込まれたIGBTで電圧の掛かった電流をON/OFFする動作で交流に変えてから交流モーターに流すことでモーターを動かしてる。交流区間を走行中のE531系や端っから交流区間しか走らない交流電車の場合、交流の電流を主変換装置で直流に変えてからこのプロセスでモーターを動かしてる。)

しかし自分の様に人から学ぶ機会は中々無いでしょうし、現状ここまでの知識を付ける為に長い時間や労力を掛けて大量の情報を調べて、やっと欲しかった情報にたどり着けての形で理解を深めるということを基本としておりましょう。
正直それをやってても「楽しいけれども探すの大変」って経験が自分の中でありました。
その様な自分の経験がありますから、「図鑑や雑誌で見知ったけど、何なのか分からないからもっと分かる為に教えて欲しい。」「大好きな鉄道だから、高度な知識に付いていきたいけど誰か教えて欲しい。」といったことになるのも自分からよく理解できますし納得も出来ます。
それに応えたくありますので、応え方として今自分から知識を持っていて手っ取り早くやれる鉄道土木・建築・施設の面での用語集を置いていきたくあります。
偶にネット上に工事の論文が出てたりして読んだとか、鉄道路線の出来るまでや改良工事が出来るまでの工事誌や技報(技報の内にJR東日本の東京工事事務所から出される東工技報がありますね)を読む機会があったことがある方もいらっしゃる筈です。
そして中々土木建築の話を読み解くのにハードルの高さを感じてしまうけど、「どこかの駅で改良工事をやるよ。」とか「こんな工事をしてあの路線が開業したよ」と言われた際に気になるから色々と知りたいと考えられる方もいらっしゃるでしょう。
そんな方の為に、今回東工技報を初めとする技報や工事誌を読みやすくなる様用語集を軽く作ってみました。
これで少しでも技報や論文に当たってみたりする方が増えてくれればなと考えております。
今回頭の方で車両の話を出しましたが、車両の主回路の話をするとしても正確に解説するのに資料を集めたり文章よりも図解を入れたりと分かりやすくする必要がある為結構時間を掛ける必要が出てしまいます。
ので、今回はこの内容でご容赦頂けたら幸いです(もし何方かやられるのであれば協力致します)。
しかし何れは土木建築のみならず車両や4号車の5号車よりで検索してサイトを開いてノートを読む事で、「ハイレベルな話だけど、ここ読むことで初めてだったけど付いてこられる迄の正確な知識を付けられれるぞ!」ってなったらいいななんて1ユーザーですが考えてもいます。
繰り返す通り1ユーザーでしかありませんが、車両等でも自分が持っている知識の限りを出して此方に置いて頂ける様に協力致しますし、そうなるサイトになる為の協力を惜しみません。
前置きを長々と語ってしまいました。
それでは、用語集を始めましょう。

1:饋電(きでん)/饋電停止(きでんていし)

架線に電気を流しておくことを、饋電(きでん)と言います。
その架線に電気を流すことを止めて、架線に電気が流れないようにすることを饋電停止(きでんていし)と言います。
人が直流1500ボルト・交流20000ボルト~25000ボルトの電圧の掛かる架線に触れたり近付いてしまうと、本当に命に関わる感電事故となってしまいます。
それを防止する為やモノを架線に近付けたりする必要があってもその対象と架線同士で摂食してしまい電気を対象に流してしまう事故を防止する為もあって、電化区間の工事は必ずこれをやります。
勿論、架線に人間の手で触れることで、初めてその作業をできる計測器具での厚さの確認や取り換え工事でも絶対にこれをやります。
偶に車両基地の公開で架線点検をやる高所作業車に乗せてくれる時もありますが、その時でもこれを絶対にやってます。
それだけ感電って怖いんだな、だけどちゃんと対策することで安全に電気を使えるんだなと覚えて帰って頂けたら幸いです。
因みに架線にも饋電線(きでんせん)と言う電線が用意されてます。

2:線閉(せんぺい)/線路閉鎖(せんろへいさ)

列車や車両を工事現場の線路に入れないようにする為に、区間を定めて現場から輸送指令に手続きを取って閉めた取り扱いにすることを線路閉鎖と言って略して線閉(せんぺい)と呼びます。
線路閉鎖と言っても、鎖やバリケードを持ち込んで物理的に列車または車両を止めて入れないようにする訳ではありません。
あくまで運転のルール上閉めた扱いをすることで、列車をその線路に入れさせない様にすることを目的としています。
最も線路閉鎖の手続きを取った後に線路上に「線閉」と書かれた看板を置きますので、「ああ閉鎖したな」って体感をする方もいらっしゃる筈です。
線路を移設したり線路の中に軌陸車やクレーン車を入れて作業をする工事をやったり枕木や分岐器を取り換える工事をやる以外にも、機械扱いで閉塞装置を作動させないような車輪を使っていたりする為に列車の走る線路を列車の走る時間帯に走れない様な保線機械(EX:マルチプルタイタンパー・レール削正車)を使う時もこの線路閉鎖をやってから線路に機械を入れます。
列車の来ない時間帯に饑電停止とこれをしてから作業を始めることが多くある為、基本的に深夜帯にやってる手続きです。
この線路閉鎖ですが、意外な所で使う場合もあります。
その内の一例に、諏訪湖祭の湖上花火大会や新作花火大会の開催日の上諏訪駅での場合があります。
まず双方共非常に有名な花火大会である為、開催される日に最寄りの当駅に花火を見る目的でここを目指す旅客で非常に混雑をしてしまいます。
普段上りの1番線ホームに面した改札だけで出入りをしているところ、その混雑で安全を確保しながら列車運行をさせる為に上下線で改札分離を行います。
この改札分離として下り線の改札を行う場所を用意する為に、副本線の3番線と留置線にこの線路閉鎖を掛けて線閉の看板を置いてから仮設通路を設営しています。
設営を終えて午後辺りから塩尻・松本方面へ向かう旅客を通路の上に通す様運用していますので、普段絶対に線路に立ち入れない旅客として線路閉鎖を安全かつおおっぴらに体感できるチャンスとなります。
勿論通路からばっちり線閉の看板を見ることができます。
混んでるので流動を阻害しない為にもその場面の写真を撮るとか当日の上諏訪駅での撮影はお止め頂きたくありますが、体感で留めておくとしても線路閉鎖を改めて認識出来ますので臨時で来るE233系の撮影や花火鑑賞や花火と交えた別の地点での撮り鉄と併せてしてはいかがでしょう。

3:跡確認(あとかくにん)

工事のその日の作業を終えて2番で出て来た線路閉鎖を終える手続きをする前に、線路や建築限界・車両限界の内側に入ってるモノがあるかないかを確かめることを跡確認といいます。
線路で工事を終えて列車を走らせる際に、工事中に線路の中にドライバーを落としてて残ったそれが列車に当たったりしたら大変なことになっちゃいますよね?
ドライバーを拾いに行く為にも線路に入らなきゃなので、列車を止めなきゃいけなくなっちゃいますよね?
そんなことが無いよう、この作業でしっかり何か忘れ物や落し物を線路の中にしてないかとかを確かめるのです。
これを済ませて線路の中や建築限界・車両限界の内側にモノが無いことを確かめて何もないとOKを貰えたら、線路閉鎖を解除する手続きにステップが進みます。

4:建方(たてがた)

この言葉は鉄道建築に限らず、建築の世界でも使われてます。
新しい駅舎を建ててる現場の脇で、「鉄骨大分組まれて来たなぁ~」なんて思う時もあるでしょう。
そうです。
鉄骨で建物の骨組みを組んでる状態を、建方と言います。

5:活線(かっせん)/営業線(えいぎょうせん)

活線(かっせん)の場合、二通りの意味がある為この言葉に当たったら周りの文をもう一度読んで下さい。
電気の話をしてる時の場合、実際に通電させた電線のことを活線と言います。
明らかに電車の通らない非電化路線で出てきたり線路の改良の話をしている場合、実際に列車を通してる線路のことを活線と言います。
その活線の内実際に営業列車を走らせてる線路を、営業線と呼びます。
電化区間の線路切り換えの論文を読んだ時に、活線と出て来た際は少し注意しながら読んでみて下さい。
因みに電車に電気を送るあの架線を、水の流れる方の架線やこの活線と混同しないよう、わざと濁らせて「がせん」と呼ぶこともあります。

6:扛上(こうじょう)

線路や架線等の工事前に水平だったモノを、計画や工事で上に持ち上げることを扛上(こうじょう)と言います。
渋谷の駅の埼京線(山手貨物線)の線路も、この扛上をされて新たなホームで乗り降り出来る計画通りの位置まで運ばれました。

 

取り敢えず持てる知識を使って6点書いてみました。
もし間違いがあれば、その時は御容赦頂きたくあります。
お時間を割いて読んで頂きありがとうございました。

お時間を使って読んで頂いた鉄道の工事関係のプロや現業職で鉄道ファンの方へ。
当方運輸の現業職の経験がありますが、今はあくまで1人の好事家です。
間違いがあれば、間違っている部分やその内容と正しい内容を合わせてコメントでご指摘を頂ければ非常にありがたく存じます。
直ぐに正確な内容に修正致します。
拙い文章からの内容と文章の向上にご協力頂き、ありがとうございます。

線路の方の活線の意味の参考:都市と交通通巻第78号P14(日本交通計画協会著)
電線の方の活線の意味の参考:保守係員の安全に関する研究開発(JREAST Technical Reviewより)

コメント

戻る HOMEへ
Kumoyuni45 > 鉄道コラム > 施設動向 > 工事の時に工事誌等で見る言葉をほんのちょっとでざっくりだけど解説(1)
ADSENSE_SCRIPT_CODE
タイトルとURLをコピーしました