北陸新幹線大阪延伸詳細ルートが公表（工期は最短25年）

(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構（以下、JRTT）は、8月8日に開催される「北陸新幹線事業推進調査に関する連絡会議」の資料を公表し、北陸新幹線新大阪延伸の詳細ルートを正式に明らかにしました。複数の報道機関により概要が報道されていました。
報道によると、7日、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム（与党PT）に詳細案と新たな工期、概算事業費が報告されたということです。

京都駅は東西案、南北案、桂川案の3つ案が提示され、それぞれ工期は28年、20年、26年です。新大阪駅の工期は25年とされています。
概算事業費については、東西案が3.7兆円程度、南北案が3.9兆円程度、桂川案が3.4兆円程度とされています。この事業費は2023年4月時点の物価で算定したもので、将来の物価上昇を見込んだ場合（※1）、東西案から5.3兆円程度、5.2兆円程度、4.8兆円程度となる可能性があります。

また、京都駅3案の課題についてもそれぞれ明記されています。
東西案は、地下鉄烏丸線などの既設地下構造物を避けるため、地下50mと大深度を掘るため工期を要するほか、東海道新幹線京都駅（直接基礎）が近接し、また、地下鉄烏丸線を下から支えながら施工する必要があるため、 変位抑制や掘削時の施工管理の難易度が高いこと、長期にわたり、八条通の交通規制が必要であることが挙げられています。
一方、南北案は駅部において、大型物件の用地協議・取得が必要とされています。イオンモールKYOTOやその周辺の地下を想定しているものと見られます。
桂川案は在来線をアンダーパスする府道などの既設地下構造物を避けるため、駅が地下50mとなることで工期を要することや、在来線が近接し、変位抑制や掘削時の施工管理の難易度が高いことが挙げられており、東西案と課題の特徴が似ています。

JRTT・国土交通省は年内までに3案からルートを決定し、2025年度末までに環境影響評価手続を終えて工事実施計画を認可し、着工する方針です。

また、鉄道施設については、京都ー京田辺（松井山手）間の久御山町付近（久御山JCT東方向）に車両基地（地下）を設ける予定です。

なお、福井新聞の報道によれば、久御山町には車両基地のほかに保守基地も整備する予定です。保守基地は小浜市にも整備される予定です。

参考：北陸新幹線全線開業の最短工期25年（京都先行は20年）

▼北陸新幹線事業推進調査に関する連絡会議（第6回資料・2024年8月8日開催予定）
https://www.jrtt.go.jp/project/turuhannrennrakukaigi6%20.pdf

▼北陸新幹線の大阪延伸、物価上昇すれば工費最大5.3兆円に増加も：朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASS872320S87ULFA00CM.html?iref=twitter

※1：2023年4月時点の価格で算定した概算事業費をもとに物価上昇率2%を想定された数字