グリーン車組み込み計画

グリーン車組み込みの流れと209系1000番台の転入。

グリーン車の組み込み計画と1回目の延期

中央快速線、青梅線で運用されるE233系0番台 中央快速線、青梅線で運用されるE233系0番台。
常磐緩行線から転入した209系1000番台 常磐緩行線から転入した209系1000番台。
大宮総合車両センターで転用改造中の209系1000番台 大宮総合車両センターで転用改造中の209系1000番台。

2015年時点の計画

2012年10月に公表された「グループ経営構想Ⅴ~限りなき前進~」の中に「着席サービスに対するニーズの高い中央線等について、着実なサービス改善」を目指すとの記述があり、2015年2月に中央快速線、青梅線へのグリーン車連結に関する公式発表(PDF)がありました。翌月には、2016年度から東京総合車両センターで「中央快速線E233系グリーン車組込準備工事」を始める、との労組資料が明らかとなりました。この時点ではサービス開始時期は2020年度とされており、グリーン車は片開き扉のイラストとなっていました。

組み込み計画の変更(1回目)

その後、2017年3月に「駅工事などに想定以上の時間を要する」ためグリーン車連結が延期になるとの報道があり、2018年4月に2023年度末からサービスを開始するとの公式発表(PDF)がありました。この際、グリーン車のイラストは両開き扉に改められ、普通車、グリーン車へのトイレ設置が発表されました(詳細)。
バリアフリー基準では「便所を設ける場合は、そのうち一列車ごとに一以上は、車いす使用者の円滑な理由に適した構造」にしなくてはなりませんので、グリーン車にバリアフリー非対応トイレを設置する場合、普通車にバリアフリー対応トイレを設置しなくてはいけません。

209系1000番台の転入・E233系の増配置

トイレの設置改造は非常に時間を要する改造の1つで、床板の補強や貫通扉の処理、車体のバランスを取るための床下機器移設など、工事量は膨大です。
改造期間中の編成数の不足を補うため、青梅線からのトタH59編成の転入のほか、209系1000番台を2編成転入させました。(ただし、トタH59編成の転入後に新たに車体保全が始まっていますので、トタH59編成はトイレ設置改造期間中の予備だけでなく、入場予備を補完している可能性があります。)
これにより、離脱できる期間を延ばすことで、トイレ設置改造の工期を確保することになりました。 合計で3編成が増配置されたものの、入場以外の予備が不足する状況が想定された(参考)為か、2020年には約12年ぶりにE233系0番台の編成単位の車両新製が行われ、トタT71編成が追加で導入されました。
方面
東京
高尾 / 青梅
豊田車両センター所属中央快速線用209系1000番台
号車 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 9号車 10号車







クハ209
1000A
ロング
モハ209
1000B
ロング
モハ208
1000A
ロング
サハ209
1000A
ロング
モハ209
1000B
ロング
モハ208
1000B
ロング
サハ209
1000A
ロング
モハ209
1000B
ロング
モハ208
1000A
ロング
クハ208
1000A
ロング
形式詳細詳細詳細詳細詳細詳細詳細詳細詳細詳細詳細
主制御装置
(VVVF)
-
SC41D
GTO
- -
SC41D
GTO
- -
SC41D
GTO
- -
補助電源装置
インバータ部(SIV)
- -
SC37B
GTO
- - - - -
SC37B
GTO
-
空気圧縮機
(CP)
- -
MH3112-
C1600SL
- - - - -
MH3112-
C1600SL
-
その他- - - - - - - - - -

グリーン車組み込み準備改造と2回目の延期

グリーン車組み込みへ向けた今後の動き

グリーン車組み込み準備改造(完了)

2019年からグリーン車組み込み準備改造が始まり、2024年に全58編成の改造が完了しました。詳細はグリーン車組み込み準備改造の通りで、トイレの設置やSIVの増設、編成の組換えが行われています。
仮に2023年度末(2019年時点の予定)からの営業開始と同時であれば、準備改造の期間は、全編成の装置保全以上の定期検査が一巡するくらいのスパンでしたが、実際には最終1編成のトタT40編成の改造が2024年度にもつれ込んでいます(詳細)。
装置保全以上の定期検査時の改造を基本としながらも、一部、検査時期が重複している編成は、定期検査以外での改造も実施されました。 改造対象から外れたE233系はトタH49編成とトタT71編成の2編成で、各編成の動向が注目されます。

TASC対応工事(完了)

最初のグリーン車はトタH57編成へ組み込み 最初のグリーン車はトタH57編成へ組み込み。
今回のホーム延伸では、12両化後のホーム有効長を最小限とするために、TASCを先行導入することが日本鉄道施設協会誌2019年1月号で明らかになっており、その前にTASCの対応工事を行う必要がありました。
グリーン車組み込み準備改造と同時期の改造を基本に進められていますが、一部編成は配置区所でも改造が行われています(編成表の編成ノート欄を参照)。 当然グリーン車組み込み準備改造を行った編成が施工対象となりましたが、グリーン車組み込みに伴う離脱の予備を確保するためか、準備改造の対象外となったトタT71編成にも施工されています(参考)。 工事の対象外となったのは209系1000番台2編成とE233系トタH49編成で、これらの編成はTASC使用開始後に営業運転に用いられていないことから、中央快速線系統の運用から離脱したものと思われます。

組み込み計画の変更(2回目)

2022年3月改正は利用状況を反映して、中央快速線の運用数が削減されており、209系1000番台の運用が減少するなどの影響が出ています。
2022年4月27日付の公式発表によると、「グリーン車両の新製計画が世界的な半導体不足の影響を受けており、2023年度末を予定していたサービス開始が少なくとも1年程度遅れる見込み」とされました。「半導体不足」がグリーン車そのものに影響しているのか、準備改造に影響しているのか、両方なのか不明ですが、2022年4月時点で2/3ほど進行していた準備改造は、ペースダウンすることも可能な状況となりました。
2024年9月、12連の営業運転開始と同時に「2025年春のサービス開始」がプレスリリースされ、延期時期が1年程度であることが確定しました(参考)。各種準備の進捗から、度重なる延期もこれが最後となるでしょう。

グリーン車の組み込みと12連の運用開始

グリーン車の新製と組み込み(進行中)

グリーン車は58編成分の116両が新製される計画です。
車両の走行試験が必要であったことから、2022年にはJ-TREC横浜事業所でグリーン車の新製が開始され、出場後は一部の普通車を活用した公式試運転が行われています。また組み込みまでの留置場所を確保する為、一部のグリーン車は疎開も実施されています。
グリーン車の組み込みはサービス開始の直前となる2025年3月までに終える予定(参考)です。
地上設備整備前に12連やグリーン車自体の走行試験を実施する為、一部の編成に先行的・一時的な組み込みが行われており、地上設備の使用が開始され12連の運行が可能となってからは、本格的に組み込みが開始されています。 詳細はグリーン車の組み込みをご覧下さい。

グリーン車の新製数削減の可能性

一連のグリーン車準備に着手した時点で中央快速線の運用数は56運用で、グリーン車の新製数は予備編成が2編成確保できる妥当な数でしたが、2022年3月に1運用削減されたため、一転して長期的には過剰な新製となり得る状況になりました。
過剰投資を避ける判断が働いたのか、2023年以降、グリーン車の新製数が114両であることが公然と報じられるようになりました参考)。報道に先行して、「鉄道車両等生産動態統計調査」において中間付随車116両の受注のうち2両の受注キャンセルが窺える記録が確認されていた(参考)ため、グリーン車の新製数が1編成分少ない114両に削減された可能性が高まっています。
なお、先述の通り組み込み準備改造は2024年度に58編成完了させており、後の普通車機器更新時の入場予備などを考慮すると、新製数削減は不合理となるリスクもあるため、グリーン車の新製数は流動的な動きとなる可能性も否定できません。

地上設備使用開始・12連の営業運転開始

グリーン車の営業開始の前に、試運転や組み込み作業を行わなくてはいけませんので、12両対応のホームやTASCなどの地上設備は、早期に運用を始める必要がありました。
またほぼ同じタイミングまでに早朝深夜の中央緩行線運用から撤退する必要がありましたが、2020年3月に撤退となりました。その他、五日市線・八高線直通列車の廃止や、青梅線青梅駅を境とする系統分離などといった運行体系の整理も並行して実施されています。
2024年に地上設備の整備が完了した為、9月にTASCの使用が開始参考)され、10月には12連の営業運転が開始参考)されました。
宇都宮線・高崎線・常磐線でのグリーン車導入時と同様、グリーン車はサービス開始まで普通車扱いとされています。

今後想定される車両動向

1.余剰車の動向

先述の通り209系1000番台2編成とE233系0番台2編成はグリーン車を組み込まない為、中央快速線から去ることが推定されます。
余剰車の動向が主旨となる為、今後の動きは「中央快速線E233系の転出」をご覧下さい。

2.普通車の機器更新

グリーン車を組み込み残留するE233系普通車は経年16年〜18年程度で、基本的には残留しながら機器更新を行うことが見込まれます。
機器更新は長期入場を伴う動きで、先述の通りグリーン車の新製数が入場予備を確保できない程度に削減される可能性がある為、実際に削減された場合はグリーン車の長期入場を避けつつ普通車の長期入場を行わなければならないかもしれません。

(参考)地上設備の動向

地上設備改良の計画

駅のホーム延伸

日本鉄道施設協会誌2019年1月号に、地上設備改良の概要が掲載されています。先述の通り、TASCを導入してホーム有効長を削減することで、最終的に延伸が必要なのは40駅となります。
延伸に際して、工期が遅延する要因となる用地買収を回避した結果、東青梅駅では交換設備の撤去、河辺駅ではホームの新設が行われました。

留置線の延伸・新設

高尾駅などでは有効長の延伸で留置可能な本数が減少するため、立川機関区拝島派出跡地(拝島駅構内)に12両対応の留置線6本を新設する工事が進められ(詳細)、2022年に使用が開始されました(詳細)。
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