
グリーン車の組み込みと延期
2015年時点の計画
2012年10月に公表された「グループ経営構想Ⅴ~限りなき前進~」の中に「着席サービスに対するニーズの高い中央線等について、着実なサービス改善」を目指すとの記述があり、2015年2月に中央快速線、青梅線へのグリーン車連結に関する公式発表(PDF)がありました。翌月には、2016年度から東京総合車両センターで「中央快速線E233系グリーン車組込準備工事」を始める、との労組資料が明らかとなりました。この時点ではサービス開始時期は2020年度とされており、グリーン車は片開き扉のイラストとなっていました。組み込み計画の変更
その後、2017年3月に「駅工事などに想定以上の時間を要する」ためグリーン車連結が延期になるとの報道があり、2018年4月に2023年度末からサービスを開始するとの公式発表(PDF)がありました。この際、グリーン車のイラストは両開き扉に改められ、普通車、グリーン車へのトイレ設置が発表されました(詳細)。バリアフリー基準では「便所を設ける場合は、そのうち一列車ごとに一以上は、車いす使用者の円滑な理由に適した構造」にしなくてはなりませんので、グリーン車にバリアフリー非対応トイレを設置する場合、普通車にバリアフリー対応トイレを設置しなくてはいけません。
209系1000番台の転入
トイレの設置改造は非常に時間を要する改造の1つで、床板の補強や貫通扉の処理、車体のバランスを取るための床下機器移設など、工事量は膨大です。改造期間中の編成数の不足を補うため、青梅線からのH59編成の転入のほか、209系1000番台を2編成転入させました。(ただし、H59編成の転入後に新たに車体保全が始まっていますので、H59編成はトイレ設置改造期間中の予備だけでなく、入場予備を補完している可能性があります。)
これにより、離脱できる期間を延ばすことで、トイレ設置改造の工期を確保することになりました。
方面 |
東京
高尾 / 青梅
豊田車両センター所属中央快速線用209系1000番台
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号車 | 1号車 | 2号車 | 3号車 | 4号車 | 5号車 | 6号車 | 7号車 | 8号車 | 9号車 | 10号車 |
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クハ209
1000A
ロング |
モハ209
1000B
ロング |
モハ208
1000A
ロング |
サハ209
1000A
ロング |
モハ209
1000B
ロング |
モハ208
1000B
ロング |
サハ209
1000A
ロング |
モハ209
1000B
ロング |
モハ208
1000A
ロング |
クハ208
1000A
ロング | |
形式詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 |
主制御装置 (VVVF) | - |
SC41D
菱
GTO
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- | - |
SC41D
菱
GTO
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- | - |
SC41D
菱
GTO
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- | - |
補助電源装置 インバータ部(SIV) | - | - |
SC37B
洋
GTO
| - | - | - | - | - |
SC37B
洋
GTO
| - |
空気圧縮機 (CP) | - | - |
MH3112- C1600SL |
- | - | - | - | - |
MH3112- C1600SL |
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その他 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
今後想定される車両動向
1.グリーン車組み込み準備改造
2019年から始まっています。詳細はグリーン車組み込み準備改造の通りで、トイレの設置やSIVの増設、編成の組換えが行われています。準備改造に伴う最終入場が、グリーン車営業開始と同時になるのか、後述のグリーン車連結開始と同時になるのかは、暫定運用時の形態によりますので、現時点では不明です。 仮に営業開始と同時であれば、準備改造の期間は、全編成の装置保全以上の定期検査が一巡するくらいのスパンになります。
2.TASC対応工事
今回のホーム延伸では、12両化後のホーム有効長を最小限とするために、TASCを先行導入することが日本鉄道施設協会誌2019年1月号で明らかになっており、その前にTASCの対応工事を行う必要があります。埼京線や京浜東北線のペースからすると、1年程度かかると思われます。
3.地上設備使用開始
グリーン車の営業開始の前に、試運転や組み込み作業を行わなくてはいけませんので、12両対応のホームやTASCなどの地上設備は、早期に運用を始める必要があります。またほぼ同じタイミングまでに早朝深夜の中央緩行線運用から撤退する必要があります。
4.グリーン車組み込み
組み込み作業のペースには限度がありますので、一定期間、10両と12両が混在することになります。今までのグリーン車組み込みでは普通車としての暫定運用が行われていますが、今回の暫定運用時の形態は不明です。
(参考)地上設備の動向

駅のホーム延伸
日本鉄道施設協会誌2019年1月号に、地上設備改良の概要が掲載されています。先述の通り、TASCを導入してホーム有効長を削減することで、最終的に延伸が必要なのは40駅となります。延伸に際して、工期が遅延する要因となる用地買収を回避した結果、東青梅駅では交換設備の撤去、河辺駅ではホームの新設が行われます。