71-000形の新製導入

新型車両71-000形の導入計画や新製導入の動き。

導入計画の推移

りんかい線新型車両に関する情報が公となったのは2018年ですが、現在に至るまで導入時期の延期を経ており、初報時点と現在では計画に相違が生じています。

明らかとなった新車両導入の方針

2018年6月に公式サイトに掲載された「経営改革プラン」内の「経営課題解決のための戦略」の一環として、「新車両の導入」が明記されたのが事実上の初報となりました(フォーラム)。
同資料中では2020年までの3年間の取組事項も掲載され、新車両に関する取り組みは以下のような流れとされていました。
  • 2018年度:導入に向けた事業計画策定
  • 2019年度:仕様検討及び設備関連の設計着手
  • 2020年度:設備関連の設計継続
取組設定の考え方に関する記述中に「2022年度の新車両導入を目指し、計画的に進める。」と記載されていたことから、この時点では同年度の運行開始が念頭にあったことが窺えます。

導入時期の延期

2021年5月28日付の経営改革プラン(2021年度~2023年度)において、2023年度の到達目標として、「2024年の新車運行開始に向け手続等が完了」と記載され、2018年時点の2022年度導入から1〜2年程度延期されることが明らかになりました(フォーラム)。
また、同資料中では2020年11月時点の実績と2021年度〜2023年度の3か年の取組(年次計画)も掲載され、新車両に関する取り組みは以下のような流れとされていました。
  • 2020年11月実績:構造等の仕様を検討、ベース車両の選定完了、工程に沿った計画を検討中
  • 2021年度:構造等の仕様検討、車両の搬入・搬出方法検討
  • 2022年度:構造等の仕様確定、車両の搬入・搬出方法確定
  • 2023年度:運輸局等への各種手続きの完了、試運転・新車両の乗務員訓練の実施
2023年度に試運転や乗務員訓練が盛り込まれていたことから、この時点で同年度中に現車の登場が想定されていたことが窺えます。

プレスリリースなど(導入時期の再延期)

初報の約5年後、現車登場の約1年前にようやく形式や外観が判明しました 初報の約5年後、現車登場の約1年前にようやく形式や外観が判明しました。
2023年6月に有価証券報告書において、2023年7月から2026年3月にりんかい線向けの鉄道車両10両4編成を新製することが新たに分かり(フォーラム同年11月に新型車両「71-000形」導入がプレスリリースされました(フォーラム)。
プレスリリースにおいて、2025年度下期に第1編成が営業運転を開始し、2027年度上期中に10両8編成が導入完了する予定であることが明らかになり、2021年時点から運行開始時期が更に1年延期されたことが判明しました。なお、現車の登場が2023年度であることを否定する情報はなかったものの、後述の通り2023年度中に現車は出場せず、結果的にこちらも1年程度延期されています。

車両仕様

車両に関する情報は先述した導入計画に関する情報と共に断片的に明らかにされていましたが、プレスリリースや現車の登場によって新たに判明した部分も少なくありません。

事前に明らかになった情報

2022年4月までに公開された「中期経営計画2022」においては、「車体幅の拡幅」や「車両床面の高さの50mm低減(70-000形の1,180 mm→1,130mm)」などが言及され、車体構造に関する情報が触れられたのはこれが初めてでした(フォーラム)。
2023年7月までに公開された「サステナビリティファイナンス・フレームワーク」においては新たに「衝撃吸収構造の採用」や「各車両にフリースペースを設置」などが言及されています(フォーラム)。
70-000形がJR東日本209系をベースとしていたこともあり、新型車両もJR東日本車両がベースとなる可能性が注目されていましたが、これらの特徴はE233系やE235系と合致していたことから、その可能性はより注目されることになりました。2023年11月のプレスリリースで明らかになった外観イメージではE233系やE235系の設計を汲んだ車体構造が明らかになり、以前以上にこれらの形式がベースとなることが推定される状況となりました。
プレスリリース直後の報道では、「総合車両製作所(J-TREC)での製造」や「ベースは同社のS24シリーズ(一番近い車体は相鉄12000系)」であることが言及された(フォーラム)一方で、「電動車や付随車の配置は70-000形の配置を受け継ぐ」ことも明らかにされ、既存のE233系などとは異なる設計も含まれることも明らかにされました。

現車の特徴

第一編成は2024年11月に出場しました 第1編成は2024年11月に出場しました。
2024年度から新津事業所(J-TREC新津)で現車が目撃され始め、11月に第1編成が出場しました(フォーラム)。
イメージではE233系と類似していた前面形状は行先表示器上部や窓下の形状に僅かな違いがあることが明確に分かり、209系に対する70-000形のように独自要素が生まれています。車体側面は雨樋の形状や溶接部が目立たない設計はE235系や相鉄12000系と類似していますが、側面デザインがイメージから僅かに変更され、車端部窓上部にもラッピングが及び、そこに車両番号やフリースペースの記号を配置する視認性を意識したようなデザインとされました。
TIMSの採用など、床下機器の設計は大部分がE233系7000番台と同一で、この部分はE233系がベースとなっていることが確定しましたが、電動車・付随車や主要機器の配置は報道通り70-000形に合わせた形とされており、同じ線路を走行するE233系7000番台・12000系は勿論、他のE233系10両編成とも完全には一致しない独特の編成形態となりました。
70-000形からも変化したのは車両番号の付番法則で、70-000形では東京都交通局車両と同様の
「百・十位が製造番号、一位が新木場方から0,1,2…7,8,9」
という法則であったものが、71-000形では
百位が製造番号、十・一位で川越方から01,02,03…08,09,10
という10編成以上の配置を考慮しないような、号車番号に合わせた番号を付与するような法則に変更されました。
編成番号は70-000形の続番となる「Z11」とされており、Z10番台が付与されることが見込まれます。また、ATACS IDは数字3桁の「ID-171」とされ、こちらはID-170番台が用いられるようです。

(参考)編成構成の比較

方面
新木場
川越
東京臨海高速鉄道所属71-000形
号車 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車







71-010
A
ロング
71-009
A
ロング
71-008
A
ロング
71-007
A
ロング
71-006
A
ロング
71-005
A
ロング
71-004
A
ロング
71-003
A
ロング
71-002
A
ロング
71-001
A
ロング
形式詳細----------
主制御装置
(VVVF)
-
MAP-
148-
15V362
- -
MAP-
148-
15V362
- -
MAP-
148-
15V362
- -
補助電源装置
インバータ部(SIV)
- -
形式不明
- - - - -
形式不明
-
空気圧縮機
(CP)
- -
形式不明
- -
形式不明
- -
形式不明
-
その他- - - - - - - - - -
方面
新木場
川越
東京臨海高速鉄道所属70-000形
号車 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車







70-000
A
ロング
70-001
D
ロング
70-002
B
ロング
70-003
A
ロング
70-004
C
ロング
70-005
B
ロング
70-006
A
ロング
70-007
B
ロング
70-008
B
ロング
70-009
A
ロング
形式詳細----------
主制御装置
(VVVF)
-
MAP-
108-
15V218
IGBT
- -
MAP-
108-
15V218
IGBT
- -
MAP-
108-
15V218
IGBT
- -
補助電源装置
インバータ部(SIV)
- -
形式不明
IGBT
- -
形式不明
IGBT
- -
形式不明
IGBT
-
空気圧縮機
(CP)
- -
SL22-
4
- -
SL22-
4
- -
SL22-
4
-
その他- - - - - - - - - -
方面
海老名 / 湘南台
川越 / 横浜
かしわ台車両センター所属12000系
号車 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車







クハ12000
A
ロング
モハ12900
A
ロング
モハ12800
A
ロング
サハ12700
A
ロング
サハ12600
A
ロング
モハ12500
A
ロング
モハ12400
A
ロング
モハ12300
A
ロング
モハ12200
A
ロング
クハ12100
A
ロング
形式詳細----------
主制御装置
(VVVF)
-
ST-
SC85A1
IGBT
- - -
ST-
SC85A1
IGBT
-
ST-
SC85A1
IGBT
- -
補助電源装置
インバータ部(SIV)
- -
ST-
SC91
IGBT
- - - - -
ST-
SC91
IGBT
-
空気圧縮機
(CP)
- -
オイルF
- - -
オイルF
-
オイルF
-
その他- - - - - - - - - -
方面
新木場
川越
川越車両センター所属埼京線用E233系7000番台
号車 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車







クハE233
7000A
ロング
モハE233
7400A
ロング
モハE232
7400A
ロング
サハE233
7200A
ロング
サハE233
7000A
ロング
モハE233
7000A
ロング
モハE232
7000A
ロング
モハE233
7200A
ロング
モハE232
7200A
ロング
クハE232
7000A
ロング
形式詳細詳細詳細詳細詳細詳細詳細詳細詳細詳細詳細
主制御装置
(VVVF)
-
SC85A
IGBT
- - -
SC85A
IGBT
-
SC85A
IGBT
- -
補助電源装置
インバータ部(SIV)
- -
SC91
IGBT
- - -
SC91
IGBT
- - -
空気圧縮機
(CP)
- -
MH3130-
C1600S1
- - -
MH3130-
C1600S1
-
MH3130-
C1600S1
-
その他- - - - - - - - - -

新製出場から導入までの動き

先述の通り総合車両製作所(J-TREC)での製造が明らかになっており、基本的にはそこから八潮車両基地まで輸送され、試運転後に営業運転に導入される流れが想定されます。

新製出場から八潮車両基地へ

先述の通り第1編成となるZ11編成は総合車両製作所新津事業所(J-TREC新津)で製造されました。JR東日本の車両ではない為、出場と同時に甲種輸送が開始されています(フォーラム)。
甲種輸送は2日にかけて行われ、1日目は愛知機関区のDD200形によって新津から新潟貨物ターミナルまで輸送(機関車運用状況)され、同駅で機関車を高崎機関区のEH200形に変更した上で高崎操車場まで輸送されました(機関車運用状況)。2日目は新鶴見機関区のEF65形の牽引で大崎まで輸送され(機関車運用状況)、甲種輸送は完了しています。
その後はJR東日本東京総合車両センター構内で留置される状況が続きましたが、4日後の未明に自力走行で八潮車両基地まで回送されており、これが初めての本線自走となりました(フォーラム)。

奥付

特集準管理

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